石炭火力に代わる「夢のエネルギー」は存在する

石炭火力に代わる「夢のエネルギー」は存在する

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ANNnewsCH ©tv asahiより引用https://youtu.be/08m0FJMgmss

現在、英国で開催されているCOP26(国連気候変動枠組条約第26回締約国会議)に合わせて、新宿で若者達が石炭火力廃止を訴える集会を行ったと朝日系列のメディアが報じた。
そもそも50人程度しか集まっていない小規模なデモ活動を大々的に報じているあたり、メディアの意図とデモの背景にある「大人達」の影が見え隠れしているのだが、下手くそな煽動はいつものことなので置いておこう。

ニュース映像の中では、参加した学生の一人、宮川亮さんがインタビューを受けており、このように答えていた。


相手は高校2年生だ。
まだまだ幼い子どもであり、この子をあまり批判することは酷であるので控えめにしたいと思うが……
この歳にして「これ以上の豊かさはいらない」と言えるあたり、さぞかし恵まれた環境にいるのだろうな、ということが想像できる。

同じ年齢で貧困に苦しんで、今日明日を生きていくのが精一杯な方々のことは、きっと清潔な環境で何不自由なく育った、彼のクリーンで輝いた未来を見据えた目には映らないのであろう。

なんというか現実世界でのマフティー・ナビーユ・エリンの卵を見たような気分になってしまった。いや、それはさすがにマフティーに失礼かもしれない。



彼自身は知らないのかもしれないが、日本の電力の26%、およそ4分の1は未だに石炭火力に依存している。
エネルギー問題というのは綺麗事だけではいかないもので、そもそも人々の生活を支えるエネルギー源は環境適合だけが良ければいいわけではなく、高い安定性と経済性が求められる。

その点において石炭というエネルギー源は非常に優秀である。

同じ化石燃料でも石油や天然ガスの可採年数が残り50年ほどと言われているのに比べ、石炭はその3倍近い132年。




さらに、中東やロシア方面等に大きく依存している石油や天然ガスと比較して、石炭はアジア太平洋方面での埋蔵量が多く、日本としても輸入がしやすい。実際、日本の石炭はそのほとんどを豪州とインドネシアから輸入している。


そして何より、安価だ。

さらにはなんと環境問題に関しても日本の石炭発電は世界トップレベルの環境性能を持ち、大気汚染物質の90%を除去することに成功している非常にクリーンなものであり、発電効率もとても良く、他国と比較して頭一つ抜けている。

このようなエネルギー源を手放したとして、残り4分の1のエネルギー源をどうやって補うのか。

まさか、環境問題云々と言っている方々が、他の化石燃料をすすめるわけはあるまいし、となるとどうするのか。
水力や風力、太陽光などでとてもまかなえるような量ではないし、それに代わる画期的な再生可能エネルギーなどというものがそう簡単に出てくるはずもない。

化石燃料を使うこともなく、大量の電力を供給できるようなそんな都合の良い発電方法はないだろうか……そんな夢のようなものある訳が……



ある。







正確には、あった。

2010年まで、日本の総発電量の30%を担っていた、人類が生み出した「夢の技術」……




そう、原子力発電である。








一部再稼働が進められたとはいえ、震災前に比べ、原発の発電量は全体の6.2%ととても低い割合にまで落ち、代わりに化石燃料による発電量が増えている。
原発をさらに再稼働すれば、化石燃料への依存も減らせるし
フランスのように原子力発電をメインにすれば、化石燃料をほぼ使わないことも夢ではないかもしれない!
(フランスは原子力発電が全体発電量の8割近くを担っている)



どうだろう、宮川さんを始めとするデモに参加した学生(となんか怪しい数人のおっさん)の諸君。
次は原発の積極的な再稼働を求めたデモを行ってみたらいかがだろうか!



……少し意地悪が過ぎただろうか。
勿論、あの手の連中が、原発推進などするわけもなく、裏で糸を引いている大人達もそれを許すことはないだろう。


だが、実際問題、その2択しかないのだ。


風力発電?
微々たる発電量であるし、国土の狭い日本で現実的な風力発電は洋上風力発電である。
実際、現在政府がその活用を目指しているが、立地に適した遠浅の海域では漁業との兼ね合いもあり、調整に膨大な時間とコストを要する。
当たり前だが風が吹かなければ発電できない。


太陽光発電?
山間部ばかりのこの国でこれ以上どこを切り裂いてメガソーラーを作るのか。
耐震性に不安があるソーラーをこの地震大国の日本で建設しまくって大地震が来たらどうするのか。

熱海で起きた悲惨な事件をもう忘れてしまったのか。

当たり前だが、太陽が出なければ発電できない。


水力発電?
これ以上どこに増やすのか。
当たり前だが、雨が降らなければ発電できない。


地熱発電?
これは一番現実的かもしれない。
実際、国立公園や温泉地をガンガン潰しまくって豊かな自然と日本の文化を破壊しつくせば、かなりの割合の電力をまかなえると言われている。
……やります?



ご理解いただけただろうか。



現実として「火力」「原子力」この2択のどちらかをとるしかないのである(核融合が実現できれば別だが)



それができないなら、4分の1のエネルギーを失った国で生活するしかない。

その場合、「これ以上の豊かさ」どころか、今の水準で生きられると思ったら大間違いだ。


デモに集まった学生諸君はどうやってそこに来たのだろうか。
おそらく電車なのではないか。
もし、全員が徒歩で集まったというなら謝罪しよう。

どうやって集合の連絡をとりあったのだろうか、おそらくはスマホなのではないか。
もし、全員が伝書鳩や掲示板に「XYZ」とでも書いて連絡をとりあっていたなら謝罪しよう。

電車も、スマホも、今まで通り使えると思ったら大間違いだ。


これが化石燃料全ての否定となったら事態はさらに深刻なこととなる。

君達が来ているその服は化学繊維じゃないのか。
マスクは?早く着替えなさい!
動物から剥いだ毛皮で作った服か、そこらの植物で恥部を隠すのです。
スマホ?そんなただの文鎮持っていて何になるんだ!


……大袈裟かもしれないが、実際、未だ電力に頼らず生活をしているような部族などはこのような生活を送っている。


綺麗事で世界は回らない。
もしかすると、集まった若者諸君の中には、何不自由なく生活してきたが故に、身の回りにあるものが全て雑草のように自然にニョキニョキと生えてきたものかのように錯覚している方もいるのかもしれないが、世の中というのは何かを「犠牲」にして、リスクとベネフィットのバランスをとって、動き続けているのである。

何の具体的な代替案も考えずに「石炭火力をやめろー!」と叫んでいるのは
あなた達自身で例えるならいきなり

「今日からお前食う量4分の3にしろ」 

と言われているのと同じであり、それが化石燃料全般ともなれば

「お前今日から食う量4分の1な」

ということになる。
「無茶苦茶だ!」と思うのではないだろうか。


その通り。あなた方の言っていることは無茶苦茶なのである。



もし、本当に石炭火力や化石燃料の使用を無くしたいなら、それに代わる実現可能な代替案を提示するか、もしくは、全員が毛皮と植物を身に纏い、伝書鳩で連絡を取り合って集合して、マイクに頼らず自らの声量だけで声を張り上げて、カメラを使ったマスコミの取材も拒否してひたすらその場を通る通行人に訴えかけ、終わったら竪穴式住居に帰って藁の上で寝るといい。

その時はさすがの私もあなた方に敬意を払い、この記事を削除するとともに、褒め称える記事を書こう。



タイトルは「文明を捨てた若者達、目指せ猿の惑星」でいかがだろうか。









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