警察官に「ノルマ」は存在するのか

警察官に「ノルマ」は存在するのか

些細な交通違反で引き止められ、高い罰金を払わされた上に点数を引かれる。急いでいるのに職務質問で呼び止められ「任意」といいつつ拒否しようとすると余計に問い詰められる。やられた側にとっては気分の良いものではない。そんな時、よく口にされるお決まりの言葉……

「ノルマのためにやっているんだろう!!!」


では、本当に警察官に「ノルマ」というものは存在するのだろうか?
疑問形にしたにも関わらず早々に答えを言ってしまって申し訳ないのだが

存在しない

ノルマじゃなくて「目標」が存在するとかいうオチだろう?と思われるかもしれないが、ノルマも目標も「制度的には」一切存在しない。
しかし、現場の警察官が実質的な「ノルマ」を感じているかという問いに対してであれば「部分的にそう」というのがピッタリの答えとなるだろう。

民間企業と同じように、警察の人事考課も「目に見える実績」と「目に見えない実績」の両方を考慮して行われる。
しかし、後者を評価してもらえるのは「専務」と呼ばれる専門性の高い各部門(刑事課、生活安全課などの課)に配属された警官達であり、一般によく接することとなる地域課(交番勤務の警官)に関してはその職務が定型的であることから、どうしても「目に見える実績」、つまり「数字」で評価されることが多くなるのである。
民間で言えば総務だの経理だのがどうしても評価されにくいのと同じであり、警察の場合はむしろ数値化できる実績が存在するだけまだマシであるとも言えるだろう。

この「数字」というのは個人の評価だけで終わるものではない、これも民間と同じで管轄ごとに集計され、膨大なデータとなって大元へと送られる。
そしてその結果は何も大事にしまっておくわけではなく、各管轄の管理職の耳に入る。
となると、やはり全体と見比べてその評価が低いところにおいては管理職も焦り、現場の警官にも発破をかけることとなる。
当事者の警官としても、一生巡査(長)で定年を迎えてもいいというような出世に一切興味のない者でなければ、やはりそれなりに焦るし、せめて平均までは持ち直さなければと気合を入れることとなる。となると当然、具体的な目標となる数値が必要となることもあるだろう。

わざわざ「制度的には」と太字にした意味がおわかりいただけただろうか。

ここまで読んでおわかりいただけなかった方に関してはむしろそのままでいていただきたい。
過去に、とある県警においてノルマ達成のために架空の捜査資料が捏造された事件が明るみになったことなどもあり、警察は「ノルマ」という言葉に非常に敏感である。
故にそういったものを制度的に設けることはないし、ノルマがあるかと聞かれればその一切を否定する。

しかし、ノルマや目標といったものは大方どのような組織にも存在するものであり、警察の場合もそれを達成するために違法な手段やでっち上げが行われたりでもしない限り、本来何も批判されるようなことではない。
むしろ、検挙数が増え、それだけ警察が犯罪の抑止に必死になることは「一般市民」としては本来メリットしかないはずなのである。
いっそ、交番の前にでも「交通違反検挙目標○○件!」とでも貼り出してしまえばいい。抑止効果にもなるのではなかろうか。

「ノルマのため」と警察を批判することは「自分犯罪しています」と自白しているのと同義であることに気づいていただきたい。
交通違反の取り締まりについては、違反していないければそもそも捕まるものではないし、職質に関してもゴネなければすぐに終わる。窃盗だのなんだのについては言わずもがなである。

とはいえ、窃盗などはまだしも、日常的に車を運転する方で今まで一度も交通違反をしたことがないなどという方はおそらくいないであろう。
交通安全週間などとわざわざ銘打ってくれている期間はもちろん、昔から言われている話だが月末や年末年始などは「何故か」取り締まりが増えるので、できる限り公共交通機関で移動をするか、より慎重な運転を心がけるようにしていただきたい。

社会カテゴリの最新記事