共産党は正しい。「汚染」の排出を止めろ!

共産党は正しい。「汚染」の排出を止めろ!

アイキャッチ画像 引用:https://twitter.com/jcpiwate/status/1450421345599115265 より


「きれいな地球を守るため、豊かな三陸の海を守るため、頑張りましょう。放射能汚染水の海洋放出はストップさせましょう。だから共産党です。よろしく!」 

日本共産党岩手県委員会が投稿した動画では党員らしき二人がカメラに向けてそう訴えかけている。
【URL】https://twitter.com/jcpiwate/status/1450421345599115265

筆者は感動した。
良いことを言うではないか、共産党。
共産党はどうやら海洋汚染について真剣に取り組んでくれるらしい。
海洋汚染について深刻な懸念を持っている筆者としてはこれは応援せざるを得ない。

しかし、この「放射能汚染水」というのはなんのことなのであろうか。
筆者の知識不足なのかと思い色々と調べてみたが、いくら調べても日本で「放射能汚染水」なるものが海洋放出されているという話は出てこなかった。

代わりに、適切な浄化処理を経て、放射性物質の大部分を除去した水である「処理水」であればたしかに海洋放出されている。

まさか弱者の味方を自称する共産党さんがそれを「汚染水」と呼称してデマを撒き散らすようなことはしないと思うが、仮に共産党の言う「汚染水」がイコール「処理水」のことだとしたら……

「処理水」の問題としてよくあげられるのが、浄化処理後も残存してしまう「トリチウム」という放射性物質についてだが、これには国の基準として1Lあたり6万ベクレルという制限がある。

この基準の水を70歳になるまで約2L飲み続けても、被爆は年間1mSV以下
CT検査での被曝量が5〜30mSV、バリウム検査がおよそ3mSVであることからもわかるようにこれによって人体がどうこうなるような数値ではないことがおわかりいただけるであろう。

そして、実際に福島第一原発から海洋放出される処理水のトリチウム濃度の基準は1Lあたり1500ベクレルであり、これは国の基準の40分の1、この水を飲んで年間1mSVの被爆をしようとすれば単純計算で一日80Lの処理水を飲まなければいけなくなる(実際は代謝などで自然に人体から排出されるため、正確な計算ではない)


放射能の前に水中毒で死ぬこと間違いなしである。


さらに、実際はこの水を直接飲むものなどいない。
放出された処理水は海水で希釈され、令和2年に行われた原子力規制庁の調査によると、福島第一原発周辺の海水から検出されたトリチウムは1Lあたり0.066ベクレルである。

この海水を飲んで年間1mSVの被爆をしようとすれば1日あたり約181万Lの海水を……これは25mプール3個分に値する量であり、漫画「トリコ」の主人公トリコでもさすがに小松に殴りかかるレベルの量である。

日本の「処理水」がどれだけ病的なほどに安全に気を使っているかがおわかりいただけたであろうか。

共産党さんもそのようなことは当然ご存知であると思われるので、仮に共産党さんの言う「汚染水」が「処理水」のことだとしても、日本のことを言っているわけではないことは明らかであろう。

衆院選において国際的な問題を訴えるとは、さすが共産党、グローバルな視点をお持ちだ。

福島第一原発から排出される年間のトリチウム量は22兆ベクレル。
この数字を見るとなんとも多そうに見えるが、世界に目を向けてみると……

韓国の古里原発は年間36兆ベクレル、同国の月城原発に至っては大気中に毎年116兆ベクレルものトリチウムを放出している。

「太平洋は日本のゴミ箱ではない」

などと言った中国の大亜湾原発も年間42兆ベクレル。


というか原発からの放射性物資云々以前に、中国は過去の核実験で大量の放射性物質を世界にばら撒いている。

そして一番多いのがフランスのラ・アーグ再処理施設。
年間の液体でのトリチウム放出量は1京3700兆ベクレル……

1京!?!?!?


そうか、共産党が言っているのはこのフランスのことに違いない。
さすが、コミンテルンから生まれた日本共産党。
かつてナポレオンがロシアに侵攻した際の恨みをまだ忘れていないのだ。

そうとわかれば合点がいく……と思いきや、そもそもトリチウムは生物濃縮されず、通常の水と同じように排出される……フランスが桁違いな量を放出しているのも「問題ない」という判断の上だ……

となると、もしや「汚染水」という言葉自体が伝えたい本質を隠すためのブラフだったのではなかろうか。
もう一度、日本共産党岩手県委員会の動画を振り返ってみよう。

きれいな地球を守るため……海を守るため……

もしやこれは、放射性物質云々を抜きにして、海洋汚染そのものに対して警鐘を鳴らす動画だったのではなかろうか!

海洋汚染の主な原因としてあげられるのが「海洋ゴミ」である。


日本からの年間流出量は2万〜6万トンで世界30位に位置する。
由々しき事態であり、対策が急がれることは確かだ。

だが、それであれば共産党は直接「日本から出る出る海洋ゴミを減らそう」とアピールすれば良いではないか。
では、何故そうしなかったのか。

答えは、各国の海洋ゴミ排出量の順位にある。

2019年のデータでは
3位 フィリピン 188万トン
2位 インドネシア 322万トン

そして1位……

中華人民共和国 882万トン

これだ。
ご存知の通り、日本共産党は表面上は中国共産党を批判しつつも歴史上、関係悪化と修復を繰り返してきた切っても切れぬ関係である。

これ以上の関係悪化は、避けたいであろうし0.066よりもよほど低い確率であるが、仮に共産党が政権を取ったとして、同じ社会主義国である中国との協力は必要不可欠であろう。

故に今回、共産党岩手県委員会は直接的な表現を避けつつ、暗に中国の海洋汚染を批判したのである。

やるではないか、共産党。

そうに決まっている。否、そうでなければおかしい。

絶対にありえない事であるがもし、今回の動画が、根拠もなく、適切に処理された処理水を「汚染水」と呼称し、東北の漁業、農業に深刻な風評被害を与えるようなデマをバラ撒いているだけの愚かな動画であったとしたら

「東日本大震災 救援・復興に全力を」と掲げている党の方針と大きく矛盾してしまうからだ。

まさか、復興に全力を尽くすと言っている党が自ら風評被害を生み出し、震災から少しずつ立ち直ってきた福島の生産者の皆さんの努力を踏みにじるようなことはするはずがない。


仮にそんなことをしているとしたら、彼らには二度と「復興」だの「福島の皆さんのために〜」だの言う資格はないだろう。

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